「米国株と全世界株どちらに投資をすればいいの?」と悩む人も多いと思います。
「米国株」と「世界株」の投資方針をざっくりと説明すると米国株は「利益重視」、世界株は「分散重視」と考えられます。
どちらが最適なのかは、性格やリスクをどこまで取れるのかといった要素から投資方針を判断しなければならないため、人によって最適な投資商品は変わると私は考えます。
ですが、相対的に比較をした場合、私は「米国株」がおすすめだと考えています。
今回の記事では、「米国株」を推奨する理由について解説していきます。
- 米国経済の圧倒的な力強さ
- 「米国株」へ投資できる優良な「ETF・投資信託」
「米国株」をおすすめする理由
「米国株」をおすすめする理由として、大きく4つ挙げられます。
- 米国株のパフォーマンスが最も優れている
- 米国株が最もリターンが良い
- リターンが高いにもかかわらず、リスクは最も低い
- 「米国株」は相対的に投資効率が良い
- 米国株の力強い成長とその背景
- 米国株式の力強い成長力
- 企業収益の持続的な拡大
- 株式市場の新陳代謝が成長の原動力となっている
- 米国の経済力を支えている要因
一つひとつ詳しく解説していきます。
米国株のパフォーマンスが最も優れている
おすすめ理由①:10年以上の長期では「S&P500」のリターンが最も良かった
米国株をおすすめする理由の1つが、「S&P500」は「全世界・日本株」と比較して最もパフォーマンスが良かったことが挙げられます。
下記の図は、過去10年間・20年間・30年間でそれぞれ株式を保有した場合のパフォーマンス結果となります。
シャープ・レシオとは
リスク(標準偏差)に対するリターンの大きさを示し、投資効率を測る指標。
数値が高いほど効率よく収益が得られていることを意味します。
(1を上回るとリターンがリスクを上回っていることになるため高評価)
投資をした時期や期間によって成績に差はあるものの、どの期間で投資を行ったとしてもリターンが大きかったのは「S&P500」でした。
おすすめ理由②:リターンが高いにもかかわらず、リスクは低い
上記の図「年率リスク」を比較してみると、世界中に分散投資している「全世界株」より「米国株」の方がリスクが低い結果となっています。
年率リスク(数値が大きいとリスクが高い)
- 過去10年間:「S&P500 = 13.2%」「全世界株 = 13.2%」
リスクが同じなら、リターンの大きい「米国株」の方が優秀 - 過去20年間:「S&P500 = 14.7%」「全世界株 = 15.5%」
「米国株」の方がリスクは低いのに、リターンが大きい - 過去30年間:「S&P500 = 14.5%」「全世界株 = 14.9%」
同じく、「米国株」の方がリスクは低いが、リターンは大きい
過去30年間のパフォーマンスでいえば、「米国株」は「全世界株」の約2倍のリターンとなっているのにもかかわらず、「全世界株」よりリスクが低いという結果となっています。
おすすめ理由③:「米国株」は相対的に投資効率が良い
シャープ・レシオで見ても、米国株が相対的に投資効率が良いことがわかります。
シャープ・レシオ(リターン/リスク)
- 過去10年間:「S&P500 = 1.2」「全世界株 = 0.8」
- 過去20年間:「S&P500 = 0.6」「全世界株 = 0.5」
- 過去30年間:「S&P500 = 0.7」「全世界株 = 0.6」
いずれの期間においても「米国株」が「全世界株」より数値が高いという結果となっており、効率よく運用ができていことを表しています。
このように、過去のデータでは「米国株」が如何にリターン率や投資効率が良かったのかがわかります。
米国株の力強い成長とその背景
おすすめ理由④:米国株式の力強い成長力
「米国株」は過去100年間において、さまざまな危機を乗り越えて力強く成長してきました。
- 1930年代:世界恐慌・第2次世界大戦
- 1970年代:オイルショック
- 2000前後:ITバブル崩壊
- 2008年:リーマンショック
- 2020年:コロナショック
などの危機を乗り越えて、「NYダウ」は過去100年で約400倍に成長
下記の図は、「NYダウ」の過去100年間の推移となります。
過去100年間で、「NYダウ」に10年間に投資していた場合
- リターンは年率6.2%
- 損失となった確率は15.9%
1970〜2021年の約52年の間で、「NYダウ」に10年間、投資していた場合(配当込み)
- リターンは年率11.1%
- 損失となった確率は0.8%
「米国株」に10年以上の期間で投資を行えば、損をする確率は限りなく低いということです。
おすすめ理由⑤:企業収益の持続的な拡大
「米国株」が長期的に大きく成長してきた背景には、企業収益の持続的な拡大があります。
下記の図は、「S&P500」とEPS(一株あたりの利益)の推移となります。
1960〜2021年の約62年間の「株価・EPS」成長率
- 株価:約77倍(年率7.3%)
- EPS:約65倍(年率7.0%)
企業収益が成長することによって、それと同じように株価が大きく上昇していることがわかります。
米国は、世界最大の金融市場であり法整備なども整っているため、企業業績が株価に反映されやすいという背景があります。
企業の新陳代謝が米国株成長の原動力となっている
おすすめ理由⑥:「米国株」が持続的に成長してきた原動力は「企業の新陳代謝」である
米国の株価指数は、その時代に活躍している企業が自動的に入れ替わるシステムとなっています。
下記の図は、「S&P500」の構成銘柄の上位20銘柄を、2001年9月末時点と2021年9月末時点で比較したものになります。
「S&P500」の構成銘柄のトップ20銘柄の入れ替わり(2001年と2021年の比較)
現在も20年前と同じく、トップ20銘柄に残っているのはわずか5銘柄しかありません。
トップ10に至ってはマイクロソフトのみ。
Facebook(2004年設立)・テスラ(2003年設立)は20年前には存在すらしていなかった企業です。
米国の株価指数では、常にその時代に活躍している企業で構成されるシステムであるため、業績が良くない企業は容赦なく排除されていきます。
つまり、「S&P500」に投資をすれば、常にその時代の米国トップ500銘柄に投資ができるということです。
また、Facebookやテスラのように、20年かからずに米国トップ20に入ってくる企業も、今後現れる可能性があるため、米国全体に投資をしておくのもおすすめです。
このような企業の新陳代謝が、長期投資を支えてくれる大きな理由となります。
米国の経済力を支えている要因
PwCレポートでは、経済成長の要因として4つを挙げている
- 労働人口の増加(労働力)
- 労働力の成長(教育)
- 資本ストックの蓄積(企業の生産活動に必要な設備の総量)
- 技術進歩
PwC(PricewaterhouseCoopers)とは
イギリスにある世界4大会計事務所のひとつで、157カ国で関連会社を展開している巨大コンサルティングファーム。
おすすめ理由⑦:米国の生産年齢人口の増加が経済成長に繋がる
下記の図は、国連「World Population Prospects」推計の生産年齢人口の推移となります。
米国の生産年齢人口は増え続けることが予想されおり、生産年齢人口の増加が今後も活発な消費や企業活動を支えていくことが期待できます。
また、ワシントン大学のレポートでも、米国は移民政策などによって労働人口が支えられるとの見解を示しています。
下記の図は、「ワシントン大学」による2017年時点で最も人口の多い10カ国を対象とした、1950年〜2100年の労働人口の推移を表したグラフです。
労働人口の見通し
アメリカは移民政策などによって労働力が支えられるとしている
10カ国の労働人口の推移は、ナイジェリアのみ増加傾向、アメリカは概ね横ばい、その他の国は減少傾向となっている
「生産年齢人口」と「労働人口」の違い
- 生産年齢人口:生産活動の中心にいる人口層のことで、15歳以上65歳未満の人口を指します
- 労働人口:労働の意思と労働可能な能力を持った15歳以上の人口を指します
※労働する意思や能力の無い人は労働人口に含まれず、65歳以上で働いている人は労働人口に含まれる
おすすめ理由⑧:米国のハイレベルな教育が、世界トップ企業の経営者を輩出している
下記の図は、世界の大学ランキング・トップ10となります。
世界の大学ランキング・トップ10の内、8校が米国の大学
- スタンフォード大学出身
- アルファベット(Googleの持株会社):ラリー・ペイジ
- ハーバード大学出身
- Microsoft:ビル・ゲイツ
- Facebook:マーク・ザッカーバーグ
- プリンストン大学出身
- Amazon:ジェフ・ベゾス
おすすめ理由⑨:米国は研究開発に積極的
米国は、科学技術・イノベーション活動のほぼすべての面において世界をリードしているといわれており、このことは「研究開発費の額・研究者数・大学ランキング」などを見れば明らかです。
主要国との比較における米国の研究開発費(2019年)
米国の研究開発費の額は、6,575億ドルで、英国の11.5倍、ドイツの4.5倍、フランスの9.0倍、日本の3.8倍、中国の1.3倍となる。
対GDP比の割合は、米国は3.07%、英国は1.76%、ドイツは3.18%、フランスは2.19%、日本は3.24%、中国は2.23%となっている。
下記の図は、「主要国の研究者数」の比較を表すグラフとなります。
研究開発人材(2018)
米国の研究者の数は、約155万人で中国の187万人より少ないが、その他の主要国より圧倒的な規模を誇る
だが、人口比率で考えると、中国より米国の方が圧倒的に多い
また、企業の研究者の割合で見ると、米国と日本のみが7割を超える
このように「研究開発費の額・研究者数・大学ランキング」を総合的に考えると、米国の技術進歩の優位性が伺え、また、これまでに蓄積された経済力・軍事力・技術力に支えられた米国の強大さは、当面揺るがないと考えられます。
「米国株」へ投資できる優良な「ETF・投資信託」
「米国株」に投資できる数ある金融商品の中から、厳選して優良な「ETF・投資信託」を指数別でご紹介します。
ETF
ティッカー | 銘柄名 | 運用会社 | リターン | 配当利回り | 経費率 | 純資産総額 (USD) | 設定日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
VOO | Vanguard S&P 500 ETF | バンガード | 22.86% 5年:10.70% 10年:11.83% | 3年:1.73% | 0.03% | 2495.52億 | 2010/09/09 |
SPY | SPDR S&P 500 ETF TRUST | ステート・ストリート | 3年:22.69% 5年:10.67% 10年:11.77% | 1.74% | 0.09% | 3628.73億 | 1993/01/22 |
IVV | iShares Core S&P 500 ETF | ブラックロック | 3年:22.82% 5年:10.70% 10年:11.82% | 2.07% | 0.03% | 2773.49億 | 2000/05/19 |
SPLG | SPDR Portfolio S&P 500 ETF | ステート・ストリート | 5年:10.77% 10年:11.78% | 3年:22.85%1.79% | 0.03% | 134.48億 | 2005/11/15 |
投資信託
ベンチマーク (指数) | 銘柄名 | リターン (3年) | 信託報酬 | 純資産総額 | 設定日 |
---|---|---|---|---|---|
S&P500 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 20.11% | 0.0968% | 18197.71億円 | 2018/07/03 |
S&P500 | SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 19.98% | 0.0938% | 8014.53億円 | 2019/09/26 |
S&P500 | iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド | 19.56% | 0.0938% | 168.43億円 | 2013/09/03 |
※2023年3月時点