最近では、NISAやiDeCoを利用して、長期積立投資を行う人も増えてきている印象です。
長期積立投資のメリットの1つは、複利効果で資産形成が行えることです。
その複利運用で「どのくらいの運用期間で投資金額が2倍に増えるのか」を簡単に計算できる法則として有名なのが「72の法則」です。
「72の法則」を知りたい方はこちら(お金のアレコレにも活用)
ですが、「72の法則」は一括投資をしたときに資産が2倍になる期間がわかる計算式です。
そのため積立投資には当てはまりません。
そこで、今回は積立投資の場合で「投資金額が2倍になる期間」を求めることができる「126の法則」をご紹介します。
126の法則とは
126の法則とは、積立投資で複利運用する場合に、投資金額が2倍になる期間を概算するために使う計算式。
126 ÷ 利回り = 運用年数
この「126の法則」を使えば、積立金額・利回り・期間がどの程度であれば、将来のお金が準備できるのかを事前にイメージ(予測)できるため、目標や運用計画が立てやすくなります。
「複利」についての詳細はこちら
投資額を2倍にするために必要な「期間」
126の法則を使って、投資額が2倍になるのに必要な期間を算出したものがこちら。
利回り | 計算式 | 2倍になる必要な期間 |
---|---|---|
2% | 126 ÷ 2 = 63 | 63年 |
3% | 126 ÷ 3 = 42 | 42年 |
4% | 126 ÷ 4 = 31.5 | 31.5年 |
5% | 126 ÷ 5 = 25.2 | 25.2年 |
6% | 126 ÷ 6 = 21 | 21年 |
7% | 126 ÷ 7 = 18 | 18年 |
8% | 126 ÷ 8 = 15.7 | 15.7年 |
9% | 126 ÷ 9 = 14 | 14年 |
10% | 126 ÷ 10 = 12.6 | 12.6年 |
例えば、毎月1万円を積立投資して、年利7%の利回りがある場合、投資額が2倍になるのに必要な運用期間は約18年です。
18年後の投資元本は216万円(120,000×18)で、資産合計は432万円になるということです。
仮に、現在23歳として65歳まで積立投資を行うとします。(この場合の運用期間は42年)
- 積立金額:毎月2万円
- 利回り:年平均3%
- 運用期間:42年(126 × 3 = 42)
上記の条件で積立投資すると、42年後(65歳)の投資元本は1008万円(240,000×42)となり、資産合計は2016万円になるということです。
「老後2000万円問題」解決です。
2024年から「新NISA」がはじまります。
この「新NISA」では、「生涯非課税保有限度額」が設定され、一人1800万円まで非課税で投資が行えるようになりました。
しかも現行のNISAに設定されている「非課税期間」が撤廃され、無期限となっています。
つまり、2024年からはじまる「新NISA」を利用して非課税を享受した上で、積立投資を行うというのが、最も賢明な資産運用といえます。
計算式の応用
計算式を応用すれば、投資額を2倍にするための「利回り」を計算することもできます。
126 ÷ 運用年数 = 利回り
リスクはコントロールできますが、リターン(利回り)はコントロールできませんし、リスクとリターンは比例するため、高い利回りを狙うというのは現実的ではありません。
なので、積立金額や運用期間の、自らコントロールできるものを調整して計算したい場合は、こちらの計算式を使う方がいいでしょう。
投資額を2倍にするために必要な「利回り」
126の法則を応用して、投資額が2倍になるのに必要な利回りを算出したものがこちら。
期間 | 計算式 | 2倍になる必要な利回り |
---|---|---|
10年 | 126 ÷ 10 = 12.6 | 12.6% |
15年 | 126 ÷ 15 = 8.4 | 8.4% |
20年 | 126 ÷ 20 = 6.3 | 6.3% |
25年 | 126 ÷ 25 = 5 | 5% |
30年 | 126 ÷ 30 = 4.2 | 4.2% |
35年 | 126 ÷ 35 = 3.6 | 3.6% |
40年 | 126 ÷ 40 = 3.1 | 3.1% |
45年 | 126 ÷ 45 = 2.8 | 2.8% |
50年 | 126 ÷ 50 = 2.5 | 2.5% |
例えば、毎月1万円を積立投資して、25年運用する場合の計算式は「126÷25=5」です。
年平均5%の利回りで運用できれば、25年後に投資額を2倍に増やせることがわかります。
仮に、現在35歳として65歳まで積立投資を行うとします。(この場合の運用期間は30年)
- 積立金額:毎月3万円
- 運用期間:30年
- 利回り:年平均4.2%(126 × 30 = 4.2%)
上記の条件で積立投資すると、30年後(65歳)の投資元本は1080万円(360,000×30)となり、資産合計は2160万円になるということです。
また、必要利回りが算出できるため、金融商品を選ぶ際やポートフォリオを組み立てる際に活用できます。
他にも、積立投資で使える「190の法則」と「76の法則」がある
190の法則
「190の法則」は、投資金額が3倍になる期間を概算するために使う計算式です。
- 投資額が3倍になる「期間」を求める計算式
「190 ÷ 利回り = 運用年数」 - 投資額が3倍になる「利回り」を求める計算式
「190 ÷ 運用年数 = 利回り」
190の法則を使って、投資額が3倍になるのに必要な期間を算出したものがこちら。
利回り | 計算式 | 3倍になる必要な期間 |
---|---|---|
3% | 190 ÷ 3 = 63.3 | 63.3年 |
4% | 190 ÷ 4 = 47.5 | 47.5年 |
5% | 190 ÷ 5 = 38 | 38年 |
6% | 190 ÷ 6 = 31.6 | 31.6年 |
7% | 190 ÷ 7 = 27.1 | 27.1年 |
8% | 190 ÷ 8 = 23.7 | 23.7年 |
9% | 190 ÷ 9 = 21.1 | 21.1年 |
10% | 190 ÷ 10 = 19 | 19年 |
76の法則
「76の法則」は、投資額が1.5倍になる期間を概算するために使う計算式です。
- 投資額が1.5倍になる「期間」を求める計算式
「76 ÷ 利回り = 運用年数」 - 投資額が1.5倍になる「利回り」を求める計算式
「76 ÷ 運用年数 = 利回り」
76の法則を使って、投資額が1.5倍になるのに必要な期間を算出したものがこちら。
利回り | 計算式 | 1.5倍になる必要な期間 |
---|---|---|
3% | 76 ÷ 3 = 25.3 | 25.3年 |
4% | 76 ÷ 4 = 19 | 19年 |
5% | 76 ÷ 5 = 15.2 | 15.2年 |
6% | 76 ÷ 6 = 12.6 | 12.6年 |
7% | 76 ÷ 7 = 10.8 | 10.8年 |
8% | 76 ÷ 8 = 9.5 | 9.5年 |
9% | 76 ÷ 9 = 8.4 | 8.4年 |
10% | 76 ÷ 10 = 7.6 | 7.6年 |
積立投資で資産を3倍にしようとすると、利回り10%でも19年、利回り5%だと38年と相応の年数がかかることがわかります。
一方、資産を1.5倍にするのであれば、利回り5%でも約15年で達成することができます。
ちなみに、資産を2倍にする場合は、同じ利回り5%だと約25年ですから、1.5倍では10年も短縮されることになります。
まとめ
- 「126の法則」の前提条件は「積立投資で複利運用」する場合に使える計算式
- 投資額が2倍になる「期間」を求める計算式
「126 ÷ 利回り = 運用年数」 - 投資額が2倍になる「利回り」を求める計算式
「126 ÷ 運用年数 = 利回り」
その他にも、積立・複利投資で使える法則がある。
- 投資額が3倍になるのに必要な「期間」を求める「190の法則」
- 投資額が1.5倍になるのに必要な「期間」を求める「76の法則」
この2つについても、前提条件や応用は「126の法則」と同様です。
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